期間工として働きはじめたばかりのあなた!
最近、「手がなんだか痛いな」「指がこわばる気がする」……そんな感覚はありませんか?
もしかするとそれ、”ばね指”の予兆かもしれません。
同じ動作を何度も繰り返すライン作業では、気づかないうちに指に大きな負担がかかってしまいます。
そして、その負担を放っておくとどうなるか……。 ある日突然、指が曲がったまま戻らなくなったり、痛みで工具が持てなくなったり。
ひどい場合には手術が必要になるケースもあり、現場に立つことすら難しくなってしまいます。
そうなる前に、早めのケアと予防が本当に大切なんです。
まだ大丈夫、と思わずに。少しでも違和感があればすぐに動き出しましょう。
この記事では、実際に現場で15年以上働いている筆者が、指に痛みを感じた経験をもとに、「ばね指」にならないための予防法や、初期症状の見極め方をご紹介します。
少しでも違和感を感じている方は、今のうちからケアを始めましょう。
ばね指ってどんな症状?
まずは「ばね指」について、しっかり知っておきましょう。
指に痛みや違和感が出る原因を理解することで、早めの対策や予防がしやすくなります。
「なんとなく痛い」では済まされない手の不調。
ここから正しく知って、無理のない働き方を見つけていきましょう。
指がカクンと引っかかる
ばね指は、指の腱に炎症が起きて、指の動きがスムーズにいかなくなる症状です。 具体的には、指を曲げたときに引っかかるような違和感があったり、カクンと弾かれるような動きになったりします。
厚生労働省の調査※によると、腱鞘炎(ばね指を含む)の労災認定件数は年々増加傾向にあり、特に40代~50代の製造業従事者に多く見られるとの報告があります。
最初は軽い引っかかりや違和感でも、放置すると動かせなくなるほど悪化することもあります。 「朝だけ指がこわばる」などの初期症状の段階で気づけると、予防や回復がぐっと楽になります。
ばね指セルフチェック|こんな症状ありませんか?
次のような症状がある方は、ばね指の予備軍かもしれません。 以下のチェック項目を参考に、自分の状態を確認してみてください。
- 指を曲げたときにカクンと引っかかる感じがする
- 朝起きたときに指がこわばって動かしづらい
- 指を伸ばすときに痛みを感じることがある
- 指の付け根に小さなしこりや腫れがある
- 指が動かなくなることが時々ある
1つでも当てはまる方は、軽視せずにケアを始めることをおすすめします。 早めの対処が、重症化を防ぐ第一歩です。
こんな期間工の人がなりやすい
- 手をよく使う作業をしている期間工(特にライン作業)
- 工場経験が浅く、まだ作業に慣れていない期間工
- 40代以上で体に変化が出やすい世代の方
- 更年期やホルモンバランスの変化がある方
- 糖尿病や持病がある期間工の方
期間工がばね指になりやすい理由

なぜ期間工の仕事で「ばね指」になりやすいのか、ご存じでしょうか?
毎日同じ作業を繰り返す工場の現場では、手や指にかかる負担が想像以上に大きいんです。
ここでは、期間工がばね指になりやすい背景について、具体的な作業内容や特徴を交えてご紹介していきます。
同じ動作の繰り返しで腱に負担が蓄積
期間工の現場では、数百回〜数千回という単位で同じ作業を繰り返します。
「ボルトを締める」「部品をセットする」「同じ動きで検査をする」など、微細な動作でも繰り返しによって腱や関節へのダメージが蓄積していくのです。
これは“使いすぎ症候群”とも呼ばれ、ばね指の発症リスクを高める原因となります。
インパクトや工具の使用による振動や負荷
インパクトドライバーやエア工具を使う作業では、指や手首に常に衝撃や振動が加わります。
これに加えて、部品をしっかり持つための“強い握力”も求められるため、手指の腱には相当な負担がかかります。
特に慣れていない作業や工具の扱いが不慣れなうちは、身体に力が入りがちで、余計にダメージを受けやすくなります。
力の入れすぎによる無意識の負担
作業に慣れていないと、どうしても無意識に“力を入れすぎて”しまう傾向があります。
「失敗したくない」「スピードを上げたい」といった気持ちがプレッシャーになり、常に手に力が入ってしまうのです。
その状態が続くと、腱がこわばり、炎症が起きやすくなります。 自分では気づかないうちに、ばね指のリスクを高めてしまっているのです。
ばね指予防のためにできること7選

痛みが出てからでは遅いかもしれません。
でも、日々のちょっとした意識やケアで、ばね指を防ぐことは十分にできます。
ここでは、現場での経験をもとに「これなら続けやすい」と感じた予防法を7つにまとめてご紹介します。
自分の手を守るために、できることから少しずつ始めていきましょう。
ちなみに、手だけでなく「ライン作業そのものがきつい…」と感じている人も少なくありません。 無理をして続ける前に、自分の適性を見直してみるのも大切です。
① 作業中に“力を抜く”意識を持つ
最もシンプルで即効性のある予防策は、「力を抜く」ことです。
慣れない作業では無意識に手に力が入ってしまいがちですが、実はこれがばね指の引き金になります。
「ガチガチに力を入れすぎてないかな?」と自分に問いかけるだけでもOK。
ネジ締めや部品の装着中も“軽く握る”意識で作業することで、指への負担は大きく軽減されます。
② パラフィン浴で血流改善
パラフィン浴は、ロウのような物質で手を包み、じんわり温めるリラクゼーション法です。
血行を促し、腱のこわばりを和らげてくれるため、ばね指の初期症状には特に効果的です。
実際に、パラフィン浴を設置している職場では「手が痛い」と訴えると、まず「パラフィンやってるか?」と聞かれることもあるほど。 それくらい、現場では信頼されている対策法のひとつです。
工場の現場でも、福利厚生の一環としてパラフィン機器が設置されていることが多く、休憩時間に使えるようになっているケースも増えています。
最近では、より簡単に使える「オンパー(温熱パック)」も導入されるようになっており、こちらも手軽なケアとして人気です。
③ お風呂でのマッサージを習慣に
湯船にゆっくりつかりながら、手指を優しくマッサージしてみましょう。
関節の可動域が広がり、血流も改善されます。
「指の付け根から先へ向けてゆっくりもむ」「グーパーをゆっくり繰り返す」など、簡単な動作でOK。 日々の積み重ねが、将来のトラブル予防につながります。
④ 痛みを感じたらすぐに塗り薬を
「ちょっと痛いな…」と感じたら、我慢せずに早めの対処を。
市販の消炎鎮痛成分が入った塗り薬は、炎症を抑え、症状の進行を防いでくれる頼もしいアイテムです。 冷感タイプや温感タイプもあるので、自分に合ったものを選びましょう。
ただし、あくまで一時的な対処であり、根本的な解決にはなりません。 塗り薬に頼りすぎず、他のケア(ストレッチや温熱など)と併用して使うようにしましょう。
⑤ 指のストレッチをこまめに
手のケアと同じように、立ち仕事が多い期間工には“足のケア”も欠かせません。 足裏やかかとに痛みを感じる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
仕事の前後や休憩中に、手や指を軽くストレッチするだけでも違います。
例えば:
- 手をグーパー10回
- 指1本ずつを反対の手で軽く反らす
- 手首を大きく回す
こうした簡単なストレッチでも、腱の柔軟性を保つうえで効果的です。
⑥ 自分の手の状態を観察する
「ちょっと腫れてる?」「昨日より動かしづらいかも…?」
そんな小さな変化に気づけるように、日々のセルフチェックを習慣にしておきましょう。
特におすすめなのが、1日3回の観察です。
- 朝起きたとき
- 仕事前(作業前)
- 仕事終わり
この3つのタイミングで手の状態を確認することで、変化に早く気づきやすくなります。
鏡で見る、スマホで写真を残すなど、自分なりの方法で構いません。 異変の“気づき”が、ばね指を未然に防ぐ第一歩になります。
⑦ 無理せず相談する勇気も大事
痛みや違和感が続く場合、「これくらい大丈夫だろう」と無理をしてしまう人も少なくありません。
でも、手は仕事の生命線。違和感があれば、早めに上司や産業医へ相談しましょう。 症状によっては作業内容の見直しや、医療機関の受診が必要になる場合もあります。
放っておくと、指が動かなくなるだけでなく、車のハンドルを握るのもつらくなったり、箸さえ持てなくなる可能性もあります。
日常生活にも支障をきたす前に、勇気を持って一歩踏み出しましょう。
無理をしすぎる前に、誰かに話すことも自分を守る大切なアクションです。
ちなみに、身体の痛みだけでなく「作業についていけない」「パニックになりそう」と感じることもあるかもしれません。 そんなときはこちらの記事もあわせて読んでみてください。
それでも痛みがひどくなる場合は?

放っておいて悪化すると、指が動かなくなったり、手術が必要になることも。 我慢せず、専門医の受診をおすすめします。
ただし、勤務中に専門医を受診する際には、必ず事前に上司や派遣担当者に連絡を入れておきましょう。
無断での受診は「職場放棄」とみなされる可能性もあるため、報告・相談は大切です。 また、職場によっては産業医との連携や、診療費の補助制度がある場合もあります。
正しく段取りを踏むことで、トラブルを避けつつ安心して受診できます。
誰にも相談せずに、勝手に病院を受診した人は注意されることもあります。
まとめ|手は消耗品。だからこそ大切に

期間工として毎日手を酷使しているからこそ、改めて大切にしたい“自分の手”。
ここでは、記事全体でお伝えしてきたポイントをもう一度整理しておきます。
少しの意識と工夫で、大きなトラブルは防げますよ。
- 手は毎日フル稼働している“消耗品”のようなもの:丁寧に使わないと、ある日突然ガタが来ます。
- 同じ動作の繰り返しが蓄積ダメージになる:見た目には分かりづらくても、腱や関節には確実に疲労がたまっています。
- ばね指は初期対応がすべて:ちょっとした違和感でも放置すると、取り返しがつかないことに。
- 「まだ大丈夫」は危険信号:痛みが軽いうちに対策を始めるのが、将来への一番の予防です。
- ケアは難しくない。意識と習慣で防げる:ストレッチやマッサージ、セルフチェックなど、簡単なことの積み重ねが効果を発揮します。
- 手を守ることは、仕事と生活の質を守ること:悪化すれば仕事だけでなく、日常生活(車の運転・食事など)にも支障をきたします。
手が痛い、指がこわばる……そんな小さなサインを見逃さず、早めにケアしていきましょう。 あなたの手は、これからも働くための大事な相棒です。
もう手に限界を感じている人は、無理せず次の働き方を考えるタイミングかもしれません。
自分に合った職場を見つけるために、転職エージェントのマッチングサービスを活用してみるのもひとつの手です。
もちろん無料です。

手の痛みに悩む人の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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