工場勤務のリーダー(班長)というとどんなイメージを持たれますか?

いつも帰りが遅くて辛そうですか?
それとも
ライン中に椅子に座ったりしていて楽そうですか?
一般の作業員を管理する立場のリーダー。
この記事では、その辛さと楽しさをご紹介します。
こんな人におススメの記事です。
- どうすればリーダーになれるのか知りたい人。
- リーダーが大変そうにしている理由を知りたい人。
- 今のリーダーよりも自分の方が、うまく班を回せると思っている人。
- 「リーダーにならないか?」と上司に聞かれている人。
等々、工場勤務のリーダーについてのお悩み、疑問をお持ちの方向けの記事です。
リーダーの仕事、辛さ、楽しさ等をお伝えします。
結論から言いますと、リーダーが辛いか、楽かは人にもよりますし、職場にもよります。
でもリーダーになって、「もうリーダーやってられない!」と思ったことが無い人はいないでしょう。
本気度は違っても、誰でも1度はリーダーを降りたいと思ったことがあります。
特にリーダーになりたての頃は、自分の経験不足や慣れない仕事などで、メンタルを病んでしまう人もいます。
私が以前自動車メーカーの工場でリーダーをしていた経験をもとに、生のリーダーの辛さと楽しさをお伝えしたいと思います。
これからリーダーを目指す人はまちろん、今現在リーダーに不満がある人にも読んでもらいたい内容です。
リーダーになるには?
どんな人がリーダーになるのでしょう?
あなたの工場のリーダーはどんな人ですか?
メンバーをグイグイ引っ張っていく兄貴タイプの人ですか?
それとも、冷静な判断で職場を管理する軍師タイプの人ですか?
中にはそんな、なるべくしてなったリーダーもいるでしょうが、ほとんどのリーダーは一般作業員の時は、やる気もスキルも普通だった人が多いのではないでしょうか?
ではどうやって、リーダーは決まっていくのでしょうか?
ポイントは3つです。
- タイミング
- 消去法
- 上司との関係
この3つのポイントが重なると、リーダーに押し上げられます。
順に見ていきましょう。

タイミング
リーダーになるのに一番重要になってくるのはタイミングです。
まずはこのタイミングが合わなければ、なかなかリーダーになるのは難しいです。
一般の作業員に比べてリーダーの椅子は少ないです。
この少ない椅子が空く時や、椅子が増える時がリーダーになりやすいタイミングです。
今のリーダーが退職する時や、移動する時。
人員の増加に伴いリーダーの人数が増える時などです。
このタイミングで、名前が上がるようになっているとリーダーに指名されやすくなります。
消去法
新しいリーダーを決める際には、その班のメンバーから持ち上がりでリーダーになることが多いです。
班の中には「こいつにリーダーは無理かな?」と思わせる人が必ずいます。
勤務態度が悪かったり、不具合をたくさん出したり、ラインに乗れなかったりと、理由は様々ですが「リーダーにするにはちょっと…。」という人がいます。
そういう人を除くと、リーダーに指名される人の数はグッと絞られます。
上司との関係
上司との関係も重要です。
リーダーになるには上司の指名によるところが大きいからです。
「こいつをリーダーにすれば班が安定するな。」
「こいつをリーダーにすれば仕事を回せるな。」
なんて思惑だけでなく、好き嫌いによるところも大きいです。
わりと仕事ができる人でも、上司に嫌われていればリーダーになることはありませんし、あまり仕事ができない人でも、上司と仲が良ければリーダーになったりします。
上司も人間なので、自分の嫌いな使いにくい人をリーダーにすることは極力避けるでしょう。
リーダーになりたいのであれば、上司に好かれなくてもいいので、嫌われることは避けておきましょう。
リーダーの仕事内容
実際にリーダーになると、どんな仕事が増えるのでしょう?
一般の作業員の時は決められた仕事、言われたことだけをやっていれば良かったのですが、リーダーになると少し仕事内容が変わってきます。
リーダーの主な仕事はこちら
- 班内メンバーの管理
- 生産ラインの管理
- 上司と部下とのパイプ役
- トラブル対応
大きく分けるとこの4つです。
順に見ていきましょう。

班内メンバーの管理
リーダーになると自分の班のメンバーを管理することになります。
人員の配置、仕事の指示、勤怠の管理などです。
他の班とも連携を取りながら、人員の配置を行います。
その日の仕事内容や、残業でしてほしい仕事などを班のメンバーに指示します。
遅刻や突発の休みでラインが回らない事が無いように、メンバーの勤怠管理も行います。
新しい人が入ってきた時には、ルールや仕事内容の教育を行い、一人で仕事を出来るようになるまでの計画を立てます。
生産ラインの管理
リーダーになると、ライン作業をする人からライン作業を管理する人になります。
自分で常にこなす仕事は待たずに、ラインが問題なく回るように管理します。
作業の失敗に対応したり、作業遅れをフォローしたり、作業員が異常な行動をしていないかを管理するのが仕事になります。
ラインが安定していると、手待ちの時間も多いので自分のたまっている業務をライン中にこなすこともできます。
反対にラインが不安定だと、常にバタバタと忙しく動き回ることになります。
上司と部下とのパイプ役
リーダーは工場内で一番弱い管理職です。
上司と部下との間に入って、うまいこと仕事を回していく、いわばクッション的な役割もすることになります。
上司からの無茶ぶりをそのまま部下に伝えるわけにもいきませんし、部下の苦情をそのまま上司に伝えることも出来ません。
雰囲気の良い職場ならいいのですが、圧の強い上司に癖の強い部下。この間に入るとリーダーはどんどん疲弊していきます。
上手なリーダーはこの上司と部下とのパイプ役がうまいです。
トラブル対応
リーダーになると、班内のトラブルには全て関わることになります。
ライン停止の対策や不具合、不良の対策、場合によっては部下が起こした交通事故の報告書の作成まですることになります。
自分が休みの予定の日でも、「○○さんが出勤していないから、今日出てきて!」なんて声がかかる事もあります。
正直、

…知らねーよ!
なんて思うこともありますが、口にも顔にも出せません。
リーダーの辛さ
リーダーの仕事内容はわかりましたか?
次に工場のリーダーが辛いと言われる理由について見ていきましょう。
リーダーが辛いと言われる理由は様々ですが、大きく分けると次の3つです。
- 責任の重さが段違い
- ラインは出来て当たり前
- 上司と部下との板挟み
順に見ていきましょう。

責任の重さが段違い
リーダーになると一般作業員の頃と比べて責任の重さが段違いになります。
一般作業員の時は、自分に任された仕事に責任を持てば、何も言われることはありません。
ところがリーダーになると、そうはいきません。
自分の班のメンバー分の責任を持つことになります。
班のメンバーが不良品を出せば、リーダーの責任も問われます。
流出防止も、不具合対策も、不良を出した作業員と一緒にすることになります。
班のメンバーが仕事中にケガをすれば、本人の不注意だったとしてもリーダーの管理責任も問われます。
班のメンバーが寝坊をしたらリーダーの管理責任を問われます。
等々、様々な場面でリーダーの責任が問われます。
リーダーの肩には、班のメンバーの人数分の責任がのしかかっています。
ラインは出来て当たり前
リーダーは自分の班の仕事を全て出来なくてはいけません。
欠員が出た時や、誰かが休んだ時に代わりにラインに入るためです。
ところが、自動車メーカーのライン作業というのは、正直誰にでも直ぐに出来るようなものではありません。
一つ、一つの仕事は難しくなくても、ギリギリのタイム設定になっていることが多く、月に一度程度しか工程に入らないリーダーがラインに乗るのは大変です。
毎日作業している、担当者でも余裕が無いのですから当然と言えば当然ですよね。
リーダーが誰かの代わりに工程に入って、ラインに乗れなかったり不良を出したりすると、部下と上司の信頼を一気に失います。

いつも偉そうに言っているのに、あいつライン乗れないじゃん!
とか
いつも標準守れとか言っているのに、あいつ守ってないじゃん!
なんて陰で言われます。
「だったらお前がやってみろ!」と思いますが、もちろん言えません。
リーダーは仕事を出来て当たり前、出来なきゃクズ扱いです。
上司の当たりも強くなりますし、部下の態度もデカくなります。
ラインに乗れないリーダーは、班の運営がものすごく大変になります。
上司と部下との板挟み
リーダーは一番力の弱い管理職です。
上からの指示を末端の作業員まで伝える役割があります。
理解のある上司に素直な部下。
こんな理想の環境は稀です。
自分の事で、キャパオーバーで全てリーダーに丸投げする上司。
独自の意見や、やり方を貫こうとする我が強い部下。
こんな環境で働くリーダーも多いでしょう。
上司の無茶ぶりも作業員に伝えなければいけませんし、部下の要望も上司に伝えなければなりません。
言い回しを優しくしたり、伝えるタイミングを考えたりして、リーダーは上司と部下のご機嫌をとります。
場合によっては折衷案や代替策を用意したりもします。
それでもうまくいかないと、上司からは叱責、部下からは逆ギレされます。

…どうすればいいんですか…。
雰囲気の悪い班のリーダーは、どんどん疲弊していきます。
精神的に辛いと言われるライン作業。その理由についてお知りになりたい方はこちらの記事もご覧ください。
ライン作業で精神崩壊する理由がわかります。
リーダーの楽しさ
リーダーの辛さはわかりましたか?
辛さだけを見ると誰もリーダーをやりたいと思わないですよね。
リーダーになると辛いことも増えますが、一般の作業員では味わえない楽しさがあるのも事実です。
リーダーの楽しさは以下の3つです。
- 仕事にやりがいを感じられる
- 給料が上がる
- 安定すれば楽になる
順に見ていきましょう。

仕事にやりがいを感じられる
リーダーになると、仕事にやりがいを感じられる機会も増えます。
正直、ライン作業の一般作業員の仕事へのモチベーションは低いです。
単純な仕事を一日中しているのですから、モチベーションを上げるのは無理な話かもしれません。
リーダーになると、一般作業員とは違って自分の意志で班の運営ができます。
人員配置や作業のやり方など、うまくいった時はやりがいを感じられるはずです。
リーダーは一般の作業員とは違い、小さな成功体験を味わえる役職です。
給料が上がる
リーダーになると給料が上がることが多いです。
責任や、やることが増えるんですから当然ですよね。
私の働く工場では、リーダーになると給料が2万円アップします。
少ないですか?
でもボーナスや残業代などの各種手当も含めると、年間100万円くらいの差になってきます。
そもそもリーダーにならないと、大きな給料アップは期待できません。
リーダーにならないと、その上の役職になることも出来ませんし、給料もある程度の年齢で頭打ちします。
同期入社でも、ずっと一般作業員の人とリーダーから徐々に出世していった人では、生涯賃金はかなり変わってくるでしょう。
安定すれば楽になる
安定している班のリーダーは楽です。
ライン中に自分の仕事もできますし、上司にアピールもできます。
班が安定していれば悩みも少なく、余裕もあります。
周りから見て、出来るリーダー感も出てます。
班を安定させるにはリーダーの努力だけでなく、色々な要因が必要ですが、「安定した班のリーダーは楽!」これは間違いないです。
私のリーダーリタイヤ記


最後に私のリーダーをリタイヤした時のお話を書かせてください。
私はトータル2年程度、リーダー職についていました。
前リーダーが退職するタイミングでリーダーになりました。
中途採用で入社して約10年、34歳の時でした。
今考えれば他に目ぼしい人がいないので、とりあえず指名されたのでしょうね。
1度は断ったものの、周りから「断ったら一生ライン作業だよ。」とか「リーダーにならないと給料上がらないよ。」なんて言われて考え直し、リーダーになりました。
私は不器用でライン作業が苦手でしたが、同じ班に出来る若い子がいたので、班の運営は最初のうちはうまくいっていました。
あまりやる気のない無関心な上司のもと、同じ班からの持ち上がりのリーダーなので、人間関係が安定した状態で運営できていました。
ところが…。
突然上司が変わったのです。
やる気のない上司から、工場内で有名なパワハラ上司に…。
このパワハラ上司、最初はおとなしかったのですが、徐々に本性を現し部下にマウントをとるようになります。
後から聞いたのですが、このパワハラ上司は以前いたところでも、パワハラ三昧の独裁政権だったそうです。
上司が変わってからは、毎朝の朝礼はお説教から始まります。
毎朝、上司の机前にリーダーが全員並び業務連絡とお説教をされます。
パワハラ上司は、はっきりとした人で一般作業員にはあまり強く言わない代わりに、リーダーへの当たりは強いです。
その上、気分屋です。
全て自分の思うように部下を動かしたいと思うタイプです。
ラインが終了した後、特に差し迫った業務が無くても、パワハラ上司よりも早く帰ることは許されません。
「やることないのか?やることは?」とか「こういう何もない時に何をやるかが大切なんだよ!」とか言われます。
自分でやることを見つけて残業していて、パワハラ上司が帰りたい時間になると、「いつまでやってんだよ?残業泥棒か?」みたいに言われます。
1度、私の班の一人が重要な不良を出した時には、「報告資料作成できるまで帰るなよ!」と言われ、詳しい指示は出さずに本人は夜8時に帰宅、私は翌朝4時までかかり報告資料をまとめ、帰宅せずに車で2時間寝て、その後上司に報告資料を提出。
寝不足のまま朝礼に出ると、みんなの前で叱責、やり直しを指示、その日も帰るのが日付が変わるころみたいな事もありました。
そんな日々が続いて、「もう無理。辞めよう。」と思った頃に、他の班のリーダーがうつ病を発症し、会社に来なくなりました。
このころになると、パワハラはリーダーだけでなく一般の人にも飛び火していたので、限界を感じた数人で労働組合に駆け込み、上司の異動をお願いしました。
会社に、うつ病になったリーダーの家族からの電話も有り、パワハラ上司はしばらくして異動になりました。
無事パワハラ上司がいなくなって、めでたしめでたしとなったのですが、リーダーの仕事に限界を感じていた私はリーダーを降りようと決意しました。
「不器用で、人をうまく扱えない自分がリーダーでは班のメンバーがかわいそう!」と自分を正当化してリーダーを降ろしてくれるよう上司にお願いします。
「リーダーを下ろしてくれないのなら会社辞めます。」くらいの勢いで何度もお願いに行きました。
引き留めや、説得など多少はありましたが、どうにかリーダーを降ろしてもらえて、今は一般の作業員としてライン作業をしています。
リーダーには向き、不向きが有ります。
私には向いていなかったのでしょう。
でもそれ以上に上司ガチャでハズレを引くと、多くのリーダーがつぶれていきます。
パワハラ上司の下にいた、私を含めて3人のリーダーは今はもう誰もリーダーをしていません。
うつ病になったリーダーは、数か月は会社に来ることが出来ませんでした。(朝、会社に出勤しようとすると、震えが止まらないと言っていました。)
うつ病になるまで頑張っても、誰も褒めてはくれません。
精神的に辛くなったら、つぶれる前にリーダーを降ろしてもらいましょう。
「まぁまぁもう少し頑張って。」とか「他にリーダー出来る人いないよ。」みたいに渋られたら…

リーダー降ろしてくれないなら会社辞めます!
くらい言ってやりましょう。
「リーダー云々どころか会社にも行きたくない!」という限界をすでに迎えている方は、退職代行サービスを利用するのもありです。
退職のプロがベストな退職に導いてくれます。
工場のリーダー(班長)は辛い?楽勝?まとめ

今回は工場で一番力の弱い管理職。リーダーの辛さと楽しさについてお伝えしました。
リーダーの辛さと楽しさは以下にまとめておきます。
リーダーの辛いところ
- 責任の重さが段違い
- ラインは出来て当たり前
- 上司と部下との板挟み
リーダーの楽しいところ
- 仕事にやりがいを感じられる
- 給料が上がる
- 安定すれば楽になる
どうですかリーダーに魅力は感じましたか?
一般の作業員に比べて責任が重く、やることも多いリーダー。
上司と部下の板挟みに有ったり、理不尽な怒られ方をしたりと大変な事もたくさんあります。
工場で一番力の弱い管理職で、確かに大変ですが、リーダーにならなければ大きく給料が上がらないのもまた事実です。
リーダーにならないと、定年までライン作業員かもしれません。

50歳を超えてライン作業できそうですか?
考え方は人それぞれです。
選ぶのはあなたです。
リーダーになるには、まず正社員を目指すしかありません。
大手メーカーのリーダー狙いだったら、期間工から正社員を目指す道が現実的です。



今現在リーダーの人は、自分の状態を気にしながらリーダーを続けていけるか考えてみましょう。
(がむしゃらにリーダー業務をこなして、気づいたらうつ病みたいにならないように。)

まだリーダーでない人は、まずはリーダーの辛さと楽しさを知り、今のリーダーを観察してみましょう。
(リーダーをやってみたいと思ったら、しっかりとリーダーに指名される準備をすすめましょう。)
リーダーになるのもならないのも、目指すのも目指さないのもあなた次第です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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